長野県品質工学研究会の活動報告(2022年12月&2023年1月)
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2023年1月21日 09時54分
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長野県品質工学研究会
2022年12月9日(金)に2022年度の第8回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:15名)
以下の4つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「「公差を狭めて、品質のバラツキを小さくする」それしか手段は無いのか?」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
「公差を狭めて、品質のバラツキを小さくする」という手段で安易にバラツキ改善しがちだが、コストが高くなるという欠点がある。この他に、設計条件や製造条件のパラメータを振ってバラツキを改善するという手段があり、コストアップせずに対処可能であることを説明した。
2.「T法の「推定値を求める」という機能を使って要因効果図を描く」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
T法の「推定値を求める」という機能を使って要因効果図を描く方法について説明した。試行錯誤のデータから簡単に要因効果図を作成することが可能である。
3.「T法はなぜ1/β、ηでの重みづけか?」(信州大学 岩下幸廣)
T法の特徴は、予測係数はX=βYとして計算し、Y=1/βXからYを推定する事にある。1/βは、Y=αXとして、α(補正)をα/相関係数の二乗として計算すると理解しやすい。また、各因子の重みづけとしてSN比ηを使用するが、相関係数の二乗(寄与率)を使っても計算可能である。説明変数の寄与率での重みづけと考えると理解しやすい。
3.付録「感染拡大の原因」(信州大学 岩下幸廣)
最近、厚労省から県別の抗体余裕率が発表され、最近の感染者は保有率の少ない地域に感染しているとの解説がされている。相関分析、T法での推定から、感染者数は気温と強い関係があり、抗体保有率は大きな要因でない事が分かった。夏は気温の高い地域で空調が使われ、冬は寒い地域で空調が早い時期から使われると考えると、夏の感染拡大、最近の冬の感染拡大は空調が原因と考えるのが妥当と思われる。
4.「絞り加工の直交表実験における水準について質問」((株)サンコー 中増光宏)
絞り加工のプレス金型におけるダイRの最適化を目的とした直交表実験の結果から、因子と水準の選択について考察した。また、直交表から任意の実験のみを選択して描いた要因効果図の意味について考察した。発表後の質疑応答で、今回の例ではスライド水準を取るべきなど、具体的なアドバイスを多数いただいた。
2023年1月13日(金)に2022年度の第9回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:11名)
以下の2つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「要因効果図の見方」((有)増田技術事務所 増田雪也)
要因効果図の縦軸は相対値であることを説明した。相対評価なので、横軸の水準値に設定しても、縦軸の値にはならないので注意が必要である。
2.「国産半導体技術の考察」 (信州大学 岩下幸廣)
Moorの法則は50年以上も成り立っている法則であり、国産半導体技術の復活に際しても参考になる法則である。同様に指数関数的に変化する技術的、社会的現象も多い。今までのデータを使って最小二乗法で予測することにより、技術開発などのガイドとなる。
2023年1月14日(土)、4県品質工学合同研究会をオンライン(主催は山梨)にて開催した。(オンライン参加者:確認中)
合同研究会とは、品質工学フォーラム埼玉(埼玉)、北陸品質工学研究会(富山、石川、福井)、山梨県品質工学研究会(山梨)、長野県品質工学研究会(長野)の合計4地区の地方研究会が、年1回各研究会持ち回りで開催しているイベントである。今回の合同研究会の内容については、山梨県品質工学研究会(http://yqes.web5.jp)から詳しい内容の報告があると思うが、「特別講演」や「ディスカッション(基本機能を考える)」など非常に充実した内容であった。なお、2023年は長野での開催を予定している。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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長野県品質工学研究会の活動報告(2022年10月&11月)
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2022年11月20日 09時46分
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長野県品質工学研究会
2022年10月14日(金)に2022年度の第6回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:11名)
以下に示す2つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「貝探しは、解探し」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
潮干狩りの「貝探し」を題材に、1因子実験と総当たり実験と直交表実験の違いについて説明した。制御因子間の交互作用の大小によらず、直交表を活用することにより、効率的に良い条件を見つけ出すことが可能となる。
2.「ワイブル分布を使用した点検保全」 (信州大学 岩下幸廣)
保全における定期点検は、摩耗故障の故障確率の少ない使用初期も長期使用後の故障確率の高い時期も等間隔で点検をするが、故障確率に応じて点検頻度を増やす方が合理的である。そこで、「損失=点検コスト+修理コスト+故障損失」が最小になる条件を、ワイブル分布を用いて算出する方法を検討した。
2022年11月11日(金)に2022年度の第7回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:13名)
以下の3つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「T法を用いたソフト評価時間予測の経過」 (日置電機(株) 高橋博之)
2019年から運用を始めた「T法を用いたソフト評価時間予測」について、2021年までの運用実績を報告した。計算式作成時(既知データ)の相関係数は0.992、運用後(未知データ)の相関係数は0.937で、高い水準で運用できたことが確認できた。相関係数の集合が密になっている部分は対数の利用で間引ける可能性がある。説明変数をフラグで扱っている部分は、計算式を分けて運用することで誤差を減らせる可能性がある。などアドバイスをいただいた。
2.「計測値を使った保全管理」 (信州大学 岩下幸廣)
計測値による保全の最適化を検討した。事前に計測値の変化パターンが把握できれば、定期保全ができる。劣化などで計測値の変化パターンが変動する場合は、計測による点検保全が有効であり、計測値(点検)によって最適保全時間を調整できる。また、修理を重ねると修理間隔が短くなって全取替の方が経済的になるケースについても検討した。
3.「ExcelVBAによるMT法テストデータ作成について」(長野県工業技術総合センター 児野武郎)
ExcelVBAを用いて、MT法を適用するためのテストデータを生成するマクロファイルを作成した。MT法のマクロファイルと組合わせて、MTシステムの初心者向け学習資料として活用したいと考えている。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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長野県品質工学研究会の活動報告(2022年8月&9月)
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2022年9月26日 07時34分
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長野県品質工学研究会
2022年8月10日(水)に2022年度の第4回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:17名)
以下に示す4つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「生産マシンの不具合改善(その2)」(伊藤哲也)
“生産マシンの不具合改善へのMT法適用事例”の活動状況を聞いて頂き、皆様から下記のようなアドバイス頂けた。
・“判別不可”となった前回からは大きく進歩し“判別可能ではないか”
・もう一歩踏み込んで原因分析を実施してみてはどうか?
今回、皆様から頂いたアドバイスを元に、活動を継続し、MT法について理解を深めてゆきたいと思います。
2.「フィードバック制御の式について」(信州大学 岩下幸廣)
オンラインQEのフィードバック制御の考え方を検討した。適用に際しては、u=λD^2の検討が必要である。また、点検での計測値をフィードバック制御に反映させると、点検回数を1回にできる可能性がある。
3.「「品質工学は、2段階設計です」と説明するのはヤメよう」((有)増田技術事務所 増田雪也)
品質工学は2段階設計と言われるが、従来型の開発手法も順番が異なるだけで2段階設計である。品質工学が従来型と異なるのは、バラツキと平均値を同時に(1段階で)実験/評価する点にある。品質工学を正確に説明することが、普及を進める上で重要である。
4.「直交表と分散分析」シナノケンシ(株)辻氏
L8直交表実験結果を分散分析して、寄与率を求めてみた。
YKK社と同様に寄与率を取り入れようとしたが、結局欲しいのは、因子のどの水準が良いかであり、要因効果図だけで十分ではないかという意見が出た。
2022年9月9日(金)に2022年度の第5回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:14名)
以下に示す4つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「保全の最適化について」 (信州大学 岩下幸廣)
定期保全の最適間隔は、「損失=保全コスト+故障損失」が最小になる間隔である。この考え方をベースに、ワイブル分布から最適保全間隔を求める事ができる。
また、品質工学講座2第11章記載の定期保全間隔は、m=2のワイブル分布の場合と一致することが分かった。
2.「N1とN2が逆転するケースはあるのか?」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
パラメータ設計で直交表実験をした際、ある行においてノイズのN1とN2が逆転することがある。それは異常なのか?正常なのか?について説明した。
3.「T法における項目数と総合推定の相関について」((有)増田技術事務所 増田雪也)
T法の項目数と総合推定の相関について検討した結果を報告した。今まで漠然と抱いてたT法に対するイメージとは異なる結果となった。
4.「潰し加工時の材料流動をT法で予測してみたい」((株)サンコー 井上貴裕)
プレス加工の材料流動量をT法で推定した事例を報告。
推定値が負の値をとってしまう問題に対して、目的変数を対数変換する等の手法を教えていただいた。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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長野県品質工学研究会の活動報告(2022年6月&7月)
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2022年7月19日 09時37分
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長野県品質工学研究会
2022年6月10日(金)に2022年度の第2回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:13名(うち事務局2名))
以下に示す事例発表についてディスカッションした。また、会員各社の出張でのコロナ対応について、ざっくばらんにディスカッションした。
【事例発表】
「品質工学(パラメータ設計)のYHKとは」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
パラメータ設計で大切なYHKについて説明した。
Y:予備実験→各ノイズの影響度合いをチェック&繰り返しのバラツキをチェック
H:本実験(直交表実験)→各制御因子の効果をチェック&全ての2因子間の組合せをチェック
K:確認実験→要因効果図の信頼性をチェック
2022年6月10日(金)に品質工学導入講習会(出席者:19名(共催・事務局3名、講師3名含む))をオンライン(Zoom)にて開催した。
1 主催者あいさつ、品質工学の概要説明
2「パラメータ設計の基本的考え方」(有)増田技術事務所 増田雪也
3「MTシステムの基本的考え方」東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ(株) 中山博之
4「オンライン品質工学の考え方」信州大学 岩下幸廣
5「長野県品質工学研究会の紹介」長野県品質工学研究会事務局 児野武郎
6「品質工学本格導入のためのセミナー・講演会について」公益財団法人長野県産業振興機構 鈴島浩
2022年7月8日(金)に2022年度の第3回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:13名(うち事務局2名))
以下に示す2つの事例発表および話題提供についてディスカッションした。
【事例発表&話題提供】
1.「UAVを用いた写真測量における機能性評価」(南信空撮 中西徹)
ドローン2機を使い、どちらの機体が写真測量に適しているのか機能性評価を行った。信号は対空標識の距離で、ノイズは撮影時の機体の進行方向と直角方向とし、ゼロ点比例のSNで比較した。
その結果、SN比が高い機体が判明し、飛行の進行方向に対し直角方向の計測精度が悪い事も判った。
今後は撮影条件のパラメータ設計を行い、更に測量精度が改善出来るか試してみたい。
2.「直交表実験結果の寄与率について」 (シナノケンシ(株) 辻希望)
パラメータ設計を知らない人は、要因効果図を見ても分からないが、寄与率で見ると理解しやすいのではないかと考え、直交表実験結果の寄与率について相談した。
しかし、繰り返しの有無や直交表の種類によって、残差や交互作用の部分で考え方が複雑になる為、本日はペンディングとし、個別で相談することになった。
3.「グラフ描画における「お・も・て・な・し」」((有)増田技術事務所 増田雪也)
RQES2022Sの予稿集に掲載されたグラフを元に、「分かりやすいグラフを作成するにはどうしたらいいのか?」について紹介した。
「見る人の視点で「おもてなしの心」を持って作成することが重要である」や「エクセルの使い勝手の悪さも問題である」などの意見が出た。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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長野県品質工学研究会の活動報告(2022年4月&5月)
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2022年5月23日 10時21分
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長野県品質工学研究会
2022年4月8日(木)に2022年度の臨時研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:10名)
以下に示す2つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「MT法の最適化(2)」 (信州大学 岩下幸廣)
MT法において、判別精度を上げるための方法を検討した。基準の逆行列を計算後、NGデータと基準のマハラノビス距離を比較して、@項目の重みづけを行う A相関行列の最適化を行う ことによって、判別精度を上げられることが分かった。項目数が多い場合Aでは変数が多くなるので、@の方が実用的と考える。前回発表の平均化法と今回の方法(最適化法)を組み合わせると、MT法の適用範囲が広がる事が期待できる。
2.「品質工学のおける遺伝的アルゴリズムの活用」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
遺伝的アルゴリズムを品質工学にどう活用するかについて検討した。MTシステムにおける項目選択や1Dシミュレーションにおけるパラメータ設計での活用が期待される。
2022年5月13日(金)に2022年度の総会および第1回研究会をオンライン(Webex)にて開催した。(参加者:15名)
以下に示す2つの事例発表についてディスカッションした。
【総会】
令和3年度の事業報告および令和4年度の事業計画が承認された。本年度の会員数:17(正会員:11、特別会員:6)である。開催日程は全11回を予定している。活動内容は、「事例発表(会員の持ち回り)」、「合同研究会」および「講演会」である。
【事例発表】
1.「信頼性試験データの解析方法〜機能性評価 vs t検定〜」 (シナノケンシ(株)辻希望)
信頼性試験データについて、現行品と代替品に於いて、比較評価する際、機能性評価とt検定のどちらを用いた方が合理的に評価出来るのか検証を行った。
今回のケースでは、多重検定に該当。t検定は適していない。
同じ値を使い続けると、棄却されやすくなってしまう。教科書にその旨の記載あり。
従って、今回だと、条件分のn数が必要であることが分かった。
また、望目特性ではなく、望大特性でも求めてみてはどうか?とか、データの信憑性の問題とか、今回のケースでは、SN比で評価するが一番良いのではないか?など、様々なアドバイスを頂くことが出来た。
2.「金属研削加工の職人技の標準化 〜職人VS素人のパラメータ設計〜」 ((株)サンコー 中村勇人)
見て覚えろ!技術は盗め!の世界である研削加工の標準化にパラメータ設計を活用した事例を報告した。
摩擦係数が小さくなる条件を良い研削条件と定義し、望小特性のSN比で評価。
得られた条件で入社1年目の社員に研削加工させたところ、研削面の摩擦係数が大きく改善し、研削加工歴25年の職人に勝利するまでに至った。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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