長野県品質工学研究会の活動報告(2022年2月&3月)
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2022年3月26日 09時13分
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長野県品質工学研究会
2022年2月10日(木)に2021年度の第10回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:15名)
以下に示す2つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「品質工学で直交表の実験をやると、なぜ確実にアウトプット(成果)が出るのだろうか?(第2報)」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
L9直交表で使った場合、2因子間の組合せは1組しか出現しない。4つの制御因子の内、ある2因子間の組合せが「最適」で、残りの2因子間の組合せが「最悪」だった場合がたまたま同一行に出現すると、「最適」と「最悪」が打ち消しあってしまうことになる。しかし、L18直交表では、2因子間の組合せが2組出現するため、上記のような可能性は低くなる。よって、L9直交表よりはL18直交表のモアベターである。
2.「絞り加工に適したプレスモーションの選定」 ((株)サンコー 井上貴裕)
絞り加工を行う際のプレスモーションの最適化にパラメータ設計を活用した事例を報告。
絞り加工における板厚減少量が小さくなるモーションを良いモーションと定義し、望小特性のSN比で評価。得られた最適条件と現行条件で実際に加工を行い比較したところ板厚減少量に大きな改善が見られた。
2021年2月10日(木)、品質工学実践交流大会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した(参加者:23名)。内容は以下の通りである。
1)あいさつ 長野県品質工学研究会 会長 兒玉光
2)品質工学の実践事例(3件)
「パラメータ設計による絞り加工に適したプレスモーションの選定」(株)サンコー 井上貴裕
「MTシステムを用いたボルトの緩み検出」長野県工業技術総合センター 古布諭
「RT法による文字認識」長野県工業技術総合センター 児野武郎
3)特別講演会「儲ける品質工学の活用 ~パラメータ設計や機能性評価、MT 法もあるけど、オンライン品質工学も忘れずに~」YKK(株)テクノロジーイノベーションセンター 技術戦略推進室 畠山鎮
2022年3月11日(金)に2021年度の第11回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:10名)
以下に示す6つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「品質工学で直交表の実験をやると、なぜ確実にアウトプット(成果)が出るのだろうか?【第1報の修正版】」((有)増田技術事務所 増田雪也)
以前に報告した内容について訂正箇所が見つかったため、訂正箇所とその理由を説明した。
2.「効率良く交互作用を見つける!そして利用する!(交互作用を敵視するのはヤメヨウ!)」((有)増田技術事務所 増田雪也)
「制御因子間の交互作用の大小関係」と「直交表と一因子実験の比較」について検証した。その結果、直交表は、制御因子間の交互作用の大小に関係なく、2因子間の最適な組合せが求まる。一方、一因子実験では、交互作用が大きい場合は最適な組合せが求まらない。
3.「MT法の最適化(1)」(信州大学 岩下幸廣)
画像処理データのMT法解析において、基準データで同じ数字だけの項目や多重共線性などのために計算が出来ないことがある。そこでエリアでの平均化、重心処理などのよって判別精度を上げられないか、数字やひらがなの画像を例に、処理方法を検討した。
4.「生産マシンの不具合改善」(伊藤哲也)
生産機の不具合検出に、MT法が活用できないか検討を実施。
データ処理をした結果、今回検討に使用した評価特性・方法では、判別が難しい事が分かった。
また、基準の評価が出来ていなかった為、評価方法の指導をして頂いた。
今後の活動として、評価方法の見直しを行い再評価と、基準評価方法について学習を行い知見を深める。
5.「T法でも区間推定できるもん 〜ベイズ+MCMC法〜」(長野県工業技術総合センター 古布諭)
T法で得られる予測結果は、通常点推定となる。そこで、T法の計算式に、ベイズ統計とMCMC法を用いることで、予測結果が区間推定(信用区間)となることを確認した。
6.「品質工学(社内勉強会)」(日本電産(株) 塚本ちさと)
社内勉強会で品質工学を知って頂くための資料を見て頂き、皆様からアドバイスを頂きました。
2022年3月18日(金)、4県品質工学合同研究会をオンライン(主催は埼玉)にて開催した。(オンライン参加者:確認中)
合同研究会とは、品質工学フォーラム埼玉(埼玉)、北陸品質工学研究会(富山、石川、福井)、山梨県品質工学研究会(山梨)、長野県品質工学研究会(長野)の合計4地区の地方研究会が、年1回各研究会持ち回りで開催しているイベントである。今回の合同研究会の内容については、品質工学フォーラム埼玉(https://ameblo.jp/qef-saitama/)から詳しい内容の報告があると思うが、「事例研究」や「フリー討論(研究会の活性化策など)」など非常に充実した内容であった。なお、2022年は山梨、2023年は長野での開催を予定している。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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長野県品質工学研究会の活動報告(2021年12月&2022年1月)
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2022年1月19日 09時34分
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長野県品質工学研究会
2021年12月10日(金)に2021年度の第8回研究会をオンライン(Webex)にて開催した(参加者:9名+事務局2名、見学1名)。
以下に示す3つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「安全係数についての考察」 (信州大学 岩下幸廣)
完全係数の計算値は部品メーカーの立場では実感より大きすぎるように感じる。部品損失が部品σに対して望大特性を示すと考え、オンライン品質工学の最適化手法を使うと、実感に合った結果が得られた。
2.「絞り加工に適したプレスモーションの選定」 ((株)サンコー 井上貴裕)
絞り加工を行う際のプレスモーションの最適化にパラメータ設計を活用した事例を報告した。
今回は製品寸法の一部を特性値として評価したが、その他の製品寸法を同時に評価する方法について、いくつかアドバイスをいただいた。
また、事前の誤差因子の検討が不十分であり、再現性が得られない可能性があるという指摘をいただいた。
3.「MT法の波形解析における標本線を最適化する方法」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
標本線を最適化する方法としては、2水準系の直交表に「採用する/しない」を割り付けて解析を行うのがベーシックな方法である。しかし、水準間に交互作用が大きい場合では、信頼度の高い結果を得ることができないという問題がある。GA法で標本線を最適化した場合は、水準間に交互さようが大きい場合でも、最適に近い結果を得ることが可能であるというメリットがある。
また、望大特性のSN比を用いて2水準系の直交表で評価する場合の問題点も指摘した。
2021年1月14日(金)に2021年度の第9回研究会をオンライン(Webex)にて開催した(参加者:10名+事務局2名)。
以下に示す1つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「誤圧での最適化について」 (信州大学 岩下幸廣)
MT法の計算で逆行列の要素が大きな値になって計算できなくなることがある。一方、誤圧での計算は同様の問題は起きないが、MT法より判別精度が悪い。誤圧計算で各項目の重みづけを行い、NG品のデータを使って重みの値を最適化することによって、判別精度を上げることができる。また、項目の重要性もわかる。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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長野県品質工学研究会の活動報告(2021年10月&11月)
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2021年11月25日 13時25分
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長野県品質工学研究会
2021年10月8日(金)に2021年度の第6回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:1名+事務局2名、オンライン参加者:6名)
以下に示す1つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「感染シミュレーションの方法」 (信州大学 岩下幸廣)
新型コロナウィルスの感染予測シミュレーション方法の検討内容と結果を報告した。ロジスティックモデルでほぼ感染状況の説明ができ、予測も可能であるので、事前対策に役立つだけでなく、安心感も得られる。また、同モデルは商品寿命の予測にも活用できる。
2.「金型潤滑のパラメータ設計」(株式会社サンコー 中増光宏)
プレス加工の金型で加工油を効果的に潤滑させる構造を、加工荷重を特性値としたパラメータ設計で検討したが、納得できる結果が得られなかったことを報告した。会員から、制御因子の一部再検討、誤差因子に金型摩耗状態を追加すべき、など多数の意見が出た。これらを参考に再実験を計画する。
2021年11月12日(金)に2021年度の第7回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:1名+事務局2名、オンライン参加者:8名)特別講演および以下に示す3つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「直交表 VS 総当たり(直交表で総当たりに近い結果が得られるのか?)」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
品質工学シミュレータを用いて、L18直交表の結果と総当たり(4374通り)の結果を比較した。利得の再現性が良好(制御因子間の交互作用が小)な時は、要因効果図から得られた最適条件は、総当たりのmax値と同じような結果となった。また、L18直交表の中の一番良い条件(暫定最適条件と呼称する)は、最適条件には劣るものの、比較的良い条件が得られることが分かった。
2.「MT法、標準化誤圧法、RT法の比較 − RT法の使い方の注意点 −」 (KOA(株) 守谷敏)
RT法は@サンプル数≦項目数の場合でも計算ができる、A項目データをβ、1/√ηに集約する、B分散・共分散行列の余因子行列を使うが、2×2なので計算が簡単、といった特徴がある。
ところが、問題点として@全ての項目の単位が揃っているか無次元数でなければならない、A大きな絶対値をとる項目があれば、その項目により判定結果がほぼ決まる、B微小な値しかとらない項目は、判定結果にほとんど寄与しない、などがあり、これらを理解して使わなければならない。
問題点を避けるにはデータの基準化が必要になるが、通常の基準化では平均が0になるため、β、1/√ηを計算することができない。そのため基準化にメジアンや範囲を使う方法があり、問題点が基準化で回避できるかを事例で確かめてみた。
併せて標準化誤圧法も取り上げた。
3.「圧力分布センサを使った体重の推定」 (タカノ(株) 中原健司)
寝たきりの人の体重を容易に知ることができる方法として、圧力分布センサを使った体重推定を検討している。目的変数である体重の違う5人に寝てもらい、体重を圧力と面積で換算したところ、マットレスの硬さ、姿勢、時間経過によって誤差が発生し、推定精度がよくなかった。そこで、重回帰分析とT法で推定式を作り、推定精度がどう違うか検討した。まだ、十分な精度が出ておらず、実験方法も含め継続検討とする。
【特別講演】
「MT法における重心抽出範囲の最適化 -SignalCatcherデモ-」(田中精密工業(株) 石澤剛士)
重心法の重心抽出範囲を遺伝的アルゴリズムで計算することにより、抽出範囲を短時間で最適化できるようになった。
本機能は、MT法・T法計算ソフトSignalCatcherに追加予定である。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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長野県品質工学研究会の活動報告(2021年8月&9月)
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2021年9月22日 09時54分
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長野県品質工学研究会
2021年8月10日(火)に2021年度の第4回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:2名+事務局2名、オンライン参加者:5名)
以下に示す1つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「品質工学で直交表の実験をやると、なぜ確実にアウトプット(成果)が出るのだろうか?」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
品質工学で直交表を使うと、なぜか確実にアウトプット(成果)が出る。例えば、2因子間の組合せで、最適な組合せ【B3・D2】があったとすると、その組合せを発見できる確率は、直交表の実験では100%、1因子実験では33.3% 56%である。直交表は全ての2因子間の組合せを網羅しているので、漏れ無く実験ができるメリットがあるのだ。また、実験回数を比較すると、1因子実験より直交表実験の方が実験回数が少ないというメリットもある。
2021年9月10日(金)に2021年度の第5回研究会をオンライン(Webex)にて開催した。(オンライン参加者:12名)
以下に示す3つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「MT法はパターン認識である」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
趣味の「ヒスイ拾い」を題材にして、「MT法で重要なのは、より賢い単位空間を作ることである」ということを説明した。MT法はパターン認識なので、そのパターンが現れるようなデータを取ることが重要である。
2.「損失関数による技術開発の最適化」 (信州大学 岩下幸廣)
技術活動についてオンライン品質工学の視点から把握することによって、課題や今後の見通しが得やすくなる。歩留の最適化、技術変化、適用商品の最適技術等を例に事例発表を行い、内容の検討を行った。
3.「RT法による手書き文字認識」 (長野県工業技術総合センター 児野武郎)
初心者へのRT法紹介のため、手書き文字認識をエクセルマクロで行う事例を紹介した。
また、RT法では項目をY1Y2の2項目に縮約した後、分散共分散行列の余因子行列を求めるが、これを相関係数行列の逆行列に置き換えても判別精度にはほとんど影響しなかったことも報告した。
会員からは、文字の大きさや位置が変わると判別精度が悪くなるので、ドットデータの重心や数も項目に入れたらどうか、などの意見が出た。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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長野県品質工学研究会の活動報告(2021年6月&7月)
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2021年7月19日 12時21分
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長野県品質工学研究会
2021年6月4日(金)に2021年度の第2回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:3名+事務局2名、オンライン参加者:7名)
以下に示す2つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「L18直交表の半分実施の問題点は?」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
L18直交表を半分実施した時点で作成した要因効果図の真偽について紹介した。全行(18行分)実施した要因効果図と比較すると、傾向が一致する制御因子もあるが、そうでない制御因子もある。よって、あくまでも目安として見る分には良いが、全行をやり切ることが大切である。
2.「オンラインQE適用事例の紹介」 (信州大学 岩下幸廣)
技術開発の検討過程についてオンライン品質工学を適用して考察した。成果があがりにくい開発初期段階の課題と、開発を終了する時期の判断が把握でき、開発の効率化や開発マネージメントの方向付けの検討が可能となる。
2021年7月9日(金)に2021年度の第3回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:3名+事務局2名、オンライン参加者:8名)
以下に示す3つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「重心を使った画像判定事例」 (日本電産サンキョー(株) 中西徹)
画像処理にMT法を適用する為の特徴化として重心を検討した。画像のピクセル行(列)毎に重心を求めめグラフ化したところ、正常品と異常品では、細かい画像の違いまで、重心波形に違いが見られた。この重心波形に対して標本線や基本統計量等を使って更に特徴化すれば、画像判別に用いる事が出来ると考える。
2.「MT法によるボルトの緩みの推移検知」 (長野県工業技術総合センター 古布諭)
振動によるボルトの緩みの推移を検出するため、加速度センサを用いて、取得される加速度データをMT法で解析することにより、ボルトの緩みの推移を異常度の推移として確認できるか検討した。
3.「圧力分布センサを使った体重推定に関する相談(T法)」(タカノ(株) 中原健司)
内容は会社都合により非公開
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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