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長野県品質工学研究会の活動報告(2021年2月&3月) |
2021年3月26日 09時26分 |
長野県品質工学研究会
2021年2月7日(日)、4県品質工学合同研究会をオンライン(主催は北陸)にて開催した。(オンライン参加者:38名)
合同研究会とは、QEF埼玉(埼玉)、北陸品質工学研究会(富山、石川、福井)、山梨県品質工学研究会(山梨)、長野県品質工学研究会(長野)の合計4地区の地方研究会が、年1回各研究会持ち回りで開催しているイベントである。今回の合同研究会の内容については、北陸品質工学研究会から詳しい内容の報告があると思うが、「事例研究」や「フリー討論(研究会の活性化策など)」など非常に充実した内容であった。なお、2021年は埼玉、2022年は山梨での開催を予定している。
2021年2月10日(水)に2020年度の第10回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:2名+事務局2名、オンライン参加者:8名)
以下に示す2つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「パラメータ設計によるプレス成形シミュレーションの精度向上」 ((株)サンコー 中増光宏)
静特性のパラメータ設計で、プレス成形CAEシミュレーションソフトの形状予測精度を向上させる試みについて事例発表を実施。シミュレーションの結果に影響するソフト上の変数項目を制御因子とし、実機とシミュレーションの乖離計測ポイントを誤差因子とした。計測ポイントはプレス加工後の外周形状全体を網羅するよう、等間隔でXまたはYどちらか一方を座標指定し、もう一方を計測値とした。
特性値となる乖離量は負の値を取らない距離として考え、望小特性のSN比で評価した。最適条件によるシミュレーション結果は、現行条件より実機に近い形状が得られ、利得の再現性も十分であった。
今回は望小特性で評価したが、実機に対するシミュレーション結果の大小を考慮し、ゼロ望目特性で評価すべきかもしれないという指摘をいただいた。
2.「動特性計算の考察」 (信州大学 岩下幸廣)
0点比例動特性でのη、Sの簡便な計算方法を検討した。まず、データそれぞれのβを計算し、βの平均値と標準偏差からη、Sを計算した。事例への適用でも通常の計算方法とほぼ同じ結果が得られた。
2021年2月10日(水)、品質工学実践交流大会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した(参加者:38名)。内容は以下の通りである。
1)あいさつ 長野県品質工学研究会 会長 中西徹
2)品質工学の実践事例(3件)
「パラメータ設計によるプレス成形シミュレーションの精度向上」(株)サンコー 中増光宏
「ねじ緩みの不具合に対する機能性評価の適用」日置電機(株) 兒玉光
「MT 法を使った波形判別」日本電産サンキョー(株) 中西徹
3)特別講演会「品質工学の魅力 ~基礎から応用まで~」TM実践塾 芝野広志
2021年3月12日(金)に2020年度の第11回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:1名+事務局2名、オンライン参加者:12名)
以下に示す特別講演および2つの事例発表についてディスカッションした。
【特別講演】
「MT法を用いたトリミング異常検知の単位空間自動作成手法」 (田中精密工業(株) 寺井太朗)
MT法を用いて波形を解析する際、標本線の位置の設定が重要となる。その設定方法として遺伝的アルゴリズムを活用した結果、判別精度を向上できる最適な位置を求めることができるようになった。これにより、従来は試行錯誤で長時間を要していた作業が、短時間かつ現場の作業者でも解析できるようになった。
【事例発表】
1.「プレス金型の予知保全」 ((株)サンコー 井上貴裕)
板金プレスの連続穴あけ加工でMT法による金型の予知保全を試みた。加工開始からの100ショットで単位空間を作成し、破損前のMD値変化で破損の予兆を検知する。ひずみ波形と時間軸との間にできる形状の面積と重心、またひずみの最大値最小値など、全14項目を計算に使用した。金型が破損するまでの加工データが4回分あり、これらでMD値の推移を確認したところ、それぞれで異なる傾向が見られた。そこで項目選択を静特性のパラメータ設計で考え、制御因子は上記14項目、水準は項目使用の可否、誤差因子は4回の加工、評価特性は破損前100ショットのMD平均値とし、望大特性のSN比で解析した。その結果SN比は向上し、利得の再現性も良かったが、加工データ毎の傾向の違いに変化は無かった。発表後のディスカッションで様々なアドバイスをいただいたが、現時点ではプレス加工自体が安定しておらず、これを改善することが先決と考えている。
2.「サンコー様のデータを用いた田中精密工業様ソフトのデモ」 (田中精密工業(株) 石澤剛士)
プレス金型の予知保全において、金型の振動波形をMT法を用いて判別解析した。この振動波形を田中精密工業製のMT法ソフトで解析した結果、標本線を遺伝的アルゴリズムで最適したことにより、判別精度を大きく向上させることができた。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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