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品質工学会誌(2019年8月号)
長野県品質工学研究会
 2019年5月10日(金)、本年度の総会および第1回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。
【総会】
平成30度の事業報告および令和元年度の事業計画が承認された。本年度の会員数は12(正会員:8、特別会員:4)である。開催日程は全11回を予定している。活動内容は、「事例発表(会員の持ち回り)」、「共通テーマのディスカッション」、「合同研究会」および「特別講演会」である。
【品質工学活動状況報告会】
新規加入検討企業4社が第1回研究会を見学した。研究会の様子や会員企業の品質工学の実践内容について、各会員が以下に示す紹介発表を行った。品質工学普及の苦労話や工夫など、気軽な雰囲気で紹介することができ、大変良かったと感じた。
・「タカノにおける品質工学の活用事例」タカノ(株) 中原健司
・「品質工学にまつわる話題提供」(有)増田技術事務所 増田雪也
・「日本電産(株)長野技術開発センターにおける品質工学活動」日本電産(株) 塚本ちさと
・「T法による特性値の推定」KOA(株) 守谷敏
・「日置電機の品質工学取組紹介」日置電機(株) 兒玉光
・「実用的なバーチャル評価方法の検討」日精樹脂工業(株) 常田聡
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)

 
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品質工学会誌(2019年6月号)
長野県品質工学研究会
 2019年2月1日(金)、品質工学実践交流大会を塩尻インキュベーションプラザにて開催した。内容は以下の通りである。
1)あいさつ 長野県品質工学研究会 会長 中西徹
2)品質工学実践事例(3件)
「技術開発に品質工学を活用しよう」長野県工業技術総合センター 児野武郎
「T法を用いたソフトウェア評価時間予測」日置電機(株) 兒玉光、高橋博之
「パラメータ設計を用いた、モータ設計」日本電産(株) 三宅拓郎、塚本ちさと
3)ポスターセッション・相談会※事例発表ポスター前で発表者とのディスカッション
4)特別講演会「SKYACTIVエンジン開発への品質工学の適用とその展開」マツダ(株) 武重伸秀

 2019年2月8日(金)、第10回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す5つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「T法を用いた衝撃試験機の条件出し」 (長野県工業技術総合センター 古布諭)
衝撃試験の試験条件は、製品によって異なる。これまで衝撃試験機の設定は、実績をもとに、トライ&エラーで行ってきたが、今回、T法を活用し設定を予測できるか検討した結果、実測と予測の相関がよいことが分かった。今後、Excelで予測システムを作る。
(2)「なでしこリーグの観客動員数に影響を与えている因子の研究 AC長野パルセイロレディース編」 (日本電産サンキョー(株) 中西徹)
あるなでしこリーグの観客動員数の変動原因をT法にて調べてみた。目的変数はホームゲーム開催時の観客動員数で、説明変数は、対戦相手・天気・気温・得失点他 全39項目とした。人気チームの時に増える事、大量得点が予想されるカードや、勝った次のゲームで動員数が増える等の結果が得られた。
(3)「タイトルおよび内容は会社都合により省略」(日置電機(株) 兒玉光)
(4)「T法における項目選択についての提案(選択から調整へ)」(信州大学 岩下幸廣)
T法における項目選択について、Excelでのソルバーを使用した事例を紹介した。また、それについて議論を行った。
(5)「新しいSN比計算式の提案」(KOA(株) 守谷敏)
従来のSN比計算式は、全実験番号の信号因子の水準数、水準値を同じにして計算しないと値が変わってしまい、評価できないという問題があった。そのため、実験番号ごとに信号因子が異なっても使えるエネルギー比型SN比や、同一の実験番号の誤差によって信号因子が変わっても使える前田式SN比が提案されている。そこで今回、最もシンプルで、どんな信号因子にも対応したSN比計算式の提案を行った。考え方はタグチのSN比そのものである。研究会でもう少し検証してから公開する予定である。

 2019年3月8日(金)、第11回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す4つの事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「標準SN比と望目特性のSN比の解説」((有)増田技術事務所 増田雪也)
標準SN比と望目特性のSN比について、初心者向けに解説した。品質工学を道具として活用できれば十分なので、細かな点を説明しないことで理解度が向上すると考えている。
(2)「MT法の波形の特徴化の方法について」(日本電産サンキョー(株) 中西徹)
最近、MT法を搭載したPLCが発売された事もあり、有効な特徴化の方法の検討と項目選択の有効性を検討した。 複数の特徴量を取入れる事で判別しにくい波形のMD値が約4倍にまであがった。項目選択をした方が更に判別精度は上がるが、未知の不良への対応等を考慮すると項目選択はしない方がよさそうである。
(3)「標準SN比を使った事例紹介」(日置電機(株) 兒玉光)
標準SN比を使用して周波数特性の改善検討をおこなった事例の紹介をおこなった。標準SN比を用いることで、非線形対象についてもロバスト性を確保できること、さらに、理想の波形にチューニングできることが分かった。また、標準SN比の算出過程に一部誤りがある事を指摘いただいたため改善を行う。
(4)「GR&Rの結果をSN比で求めてみたけど・・・」(日本電産(株) 塚本ちさと)
GR&Rは取ったデータに左右されてしまう事があるので、エネルギー比型SN比で計算した。SN比での判断の仕方やGR&Rのデータの取り方についてディスカッションした。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)

 
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品質工学会誌(2019年4月号)
長野県品質工学研究会
 2018年12月14日(金)、第8回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す研究発表、事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【研究発表】
「機械学習とMT法を用いたプレス加工音による金型摩耗の検知」 (長野県工業技術総合センター 新村諭)
本研究ではMT法と 機械学習であるk-means法を使い、マイクロホンを用いてプレス金型の摩耗を検知させた。プレス機周辺では様々な音がするため、k-means法で17個の集団に分割し、それぞれで単位空間を生成した。
【事例発表】
(1)「T法における非線形データ処理ついて」 (信州大学 岩下幸廣)
非線形データを対数変換などすることによってT法を活用することができる。事例などからその方法を分類、整理した。
(2)「T法を用いたソフトウェア評価時間予測」 (日置電機(株) 兒玉光)
T法について、目的変数を対数変換する手法を用いたところ、目的変数が大きい時に、予測値がかいり離する現象が発生したため、対処方法を相談し、以下のようなアドバイスをいただいた。
・対数変換前と比較して、相関係数が大きくなっている場合は予測精度は向上していると判断して良く、係数をかけて補正するとよい。
・目的変数、説明変数について対数変換の効果を効率的に検討する手法を紹介いただいた。
・今回の問題とは関係ないが、説明変数について言語データの数値化方法に間違いがあることを指摘いただいた。
【共通テーマ】
「MTシステムによる加工部品の品質推定」
旋盤加工時の加速度センサ、AEセンサデータの解析結果と加工条件から、製品の表面粗さ(算術平均粗さRa)をT法で推定した。その結果、真値と推定値で相関係数0.9程度の結果が得られた。今後あらためて旋盤加工実験を行い、粗さが推定できるか確認する。

 2019年1月11日(金)、第9回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す研究発表、品質工学実践交流大会予行および事例発表についてディスカッションした。
【研究発表】
「プレス加工製品の高性能化に関する研究」 (長野県工業技術総合センター 長洲慶典)
スイッチとして使用されるプレス部品の適正形状を得るために、実験計画法とCAEを組み合わせて部品形状の最適化を試みた。解析結果に基づき金型設計・金型製作・評価試験した結果、目標とする部品性能(最大圧縮荷重/クリック率)を有することを確認した。
【品質工学実践交流大会予行】
2019年2月1日に実施予定の品質工学実践交流大会で発表する3テーマについて、発表の予行を実施した。
・「技術開発に品質工学を活用しよう〜パラメータ設計の事例から〜」(長野県工業技術総合センター 児野武郎)
・「T法を用いたソフトウェア評価時間予測」(日置電機(株) 兒玉光、橋博之)
・「パラメータ設計を用いた、モータ設計」(日本電産(株) 三宅拓郎、塚本ちさと)
【事例発表】
「T法で定性的なデータを扱う場合」((有)増田技術事務所 増田雪也)
定性的なデータを扱う場合に、項目及びその水準値をどう設定するのか紹介した。重回帰分析と同じような処理をすると、貴重な情報が欠落する事例を説明した。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)

 
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品質工学会誌(2019年2月号)
長野県品質工学研究会
 2018年10月12日(金)、第6回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す2つの事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「T法の展開」 (信州大学 岩下幸廣)
T法は基準となるデータから推定式を作成する。推定式は線形式を基本としているが、帰納的推定の幅を広げるために、非線形現象への拡張を検討し、まず「べき関数」を使用する方法を議論した。他の方法も検討を進めたい。
(2)「ミニ四駆を使ったパラメータ設計」 (富士電機エフテック(株)大島宏一)
品質工学の素人が品質工学の職場への普及を狙い、単純構造のミニ四駆を使ったパラメータ設計に取り組んだ事例を紹介した。
・機能:コースに依らず安定して走行する。
・入力:周回数
・出力:スプリット・タイム
・制御因子:主要部品をL18直交表に割り当て
・ノイズ因子:正式コースの構成要素を模擬した8要素
利得の再現性が悪かったが、今後、出力等を見直し再現性の改善を図る。
【共通テーマ】
「BNCケーブルの機能性評価」
3種類のBNCコネクタについて、L9直交表に誤差因子を割付けて直交実験を実施した経過を報告し、ディスカッションをおこなった。データのまとめ方、S/N比の算出方法等について指摘があった。次回の定例会にて実験の結果を報告する。
「MTシステムによる加工部品の品質推定」
旋盤で条件を変えながら加工した試料について表面粗さ測定を行った。試しに加工条件と算術平均粗さで重回帰分析を行ったところ、比較的相関が高い結果となった。これは、項目に対して実験データが少ないためと考えられる。次回は、同じデータをT法で解析し比較する。

 2018年11月9日(金)、第6回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す2つの事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「T法を用いたソフトウェア評価時間予測」 (日置電機(株) 高橋博之)
社内で採用しているソフトウェア評価時間見積りの算出方法では、実際の評価時間と乖離する場合が多いため、T法を用いて評価時間の推定と検証をを行った。T法を用いることで、現行よりも相関が高い結果が得られたが、規模の小さい製品について、推定評価時間がマイナス値となるケースがあった。対数を用いた解決方法を教示いただいたので、今後効果を確認することとした。
(2)「T法で、1/βを使うわけ」 (信州大学 岩下幸廣)
T法では推定式に1/βを使用しているが、重回帰分析等と比較しながら、その意味についての検討結果を報告した。その後参加者で議論を行い、考え方のすばらしさを改めて認識した。
【共通テーマ】
「BNCケーブルの機能性評価」
3種類のBNCコネクタについて機能性評価を実施した事例について、望目特性を用いてS/N比を計算した結果を報告した。
・トラブルが発生したBNCコネクタのSN比が最も低く、構造的に優位性があると考えられるBNCコネクタのSN比が最も高く出た。
・誤差因子の影響について検証するため要因効果図を作成した。
今後、誤差因子に耐久性を加えた実験を実施する予定。
「MTシステムによる加工部品の品質推定」
今回議論無し
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)

 
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品質工学会誌(2018年12月号)
長野県品質工学研究会
 2018年8月10日(金)、第4回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す特別講演、事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【特別講演】
「設計の「従来の思考」と「タグチメソッド」」&「提供する文献の簡単な紹介」宇井經雄氏(当会元会員 宇井技術士事務所)
当研究会の元副会長の宇井氏にご講演をいただいた。火縄銃の実験を例に、ノイズを与えて評価することの大切さが品質工学のオリジナリティであることをご説明いただいた。また、宇井氏の所蔵する書籍を研究会に寄贈いただいたので、貴重な資料として活用していきたいと考えている。
【事例発表】
「T法のVAへの適用 〜ノートPCの装備と価格〜」 (KOA(株)守谷敏)
ノートPCの価格を真値、画面サイズ、CPUクロック、DVDありなしなどの装備を項目値としてT法による解析を行った。推定式のηがVAでの価値係数ということになる。推定値に対して真値が安ければお買い得,高ければ損というように判断ができる。同じ装備での価格差はブランドの差と考えられるが、これを項目値に入れ込むことも検討していきたい。
【共通テーマ】
「BNCケーブルの機能性評価」
機能性評価を実施するにあたり、BNCケーブル、測定器の現物を用意して、部品の構造や、接触抵抗の測定方法について確認し、誤差因子や、実験時の注意点についてディスカッションをおこなった。誤差因子の候補として、温度、接続部への外的荷重、コネクタのロック、磨耗、異物等が挙げられた。また、実験時の注意点として、樹脂部品の残留応力の除去、電圧-電流での評価、実験の再現性、データの測定回数等の意見が挙げられた。
「MTシステムによる工作機械の異常検知」
旋盤による切削実験の途中経過を報告した。バイトの摩耗具合(小、中、大)と切込み量(0.1mm、0.2mm、0.3mm)をそれぞれ3水準設定し、切削時の振動とAEデータをセンサにて取得した。それぞれの条件による加工後の試料を保存したので、今後加工面の表面粗さ等の形状データも取得しデータ解析する予定である。

 2018年9月14日(金)、第5回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す2つの事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「直交表の内側にノイズを割り付けた場合の解析について」 (日本電産サンキョー(株) 中西徹)
18回の実験で、最適条件が求まると勘違いしている設計者が多く、実際には直交表の外側に配置したノイズにより36回の実験が必要となる。ノイズを含めて18回で実験が出来るようにするために、直交表の内側(A列)にノイズを割り付けた。従来の実験の要因効果図と比較しても、ほぼ同様の要因効果図が得られており、実験回数の削減は可能と考えられる。
(2)「最小絶対値法によるロバスト回帰」 (長野県工業技術総合センター 児野武郎)
品質工学とは直接関係ないが、データの回帰式の求め方にExcelのソルバーを用いた最小絶対値法による手法を紹介した。外れ値に対してロバスト性を持つため、データの特性によっては活用できる可能性がある。
【共通テーマ】
「MTシステムによる工作機械の異常検知」
旋盤での加工時に取得した振動センサ等のデータと加工後の表面粗さの測定結果をグラフ化して目視で比較し、分析方法の議論をした。その結果表面粗さパラメータを真値とし、センサーデータの統計量を用いてT法で推定できるか検討することにした。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
 
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