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品質工学会誌(2013年2月号)
長野県品質工学研究会
 2012年11月8日(木)、第7回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す2つの事例発表および2つの共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「基板ブレークの最適条件」(KOA株式会社 守谷敏)
基板ブレーク機の改善をするにあたり、すべての部分を対象にすると膨大な時間がかかってしまう。そこでL18実験により、基板ブレークへの影響が大きな部分を抽出し、そこを改善ポイントとすることにした。評価は品質特性であるが、不具合の内容を分けて要因効果図を作成することにより、トレードオフの存在や調整箇所の特定をすることができた。現行機を最適化した後に改善を行い、さらに加工能力を上げることが可能となった。
(2)「シックスシグマについて」(KOA株式会社 守谷敏)
シックスシグマの概要と品質工学の関わりについての説明を行った。改善プロセスであるDMAICのIフェーズで品質工学が使われること、TQCとの相違点、長所と短所などについて質疑応答やディスカッションにより知見を広げた。
【共通テーマ】→会員は以下の2テーマに分かれ、各テーマで1年間共通テーマに取り組んでいる
(1)「T法によるパターン認識の検討」
前回はデジタルカメラで撮影した指紋の画像処理について検討を行なったが、効率性が良くないことからスキャナーで指紋画像をパソコンに取り込み、数値化をしてみた。その結果、デジタルカメラで撮影した指紋画像と同様にパターンが認識できることが分かった。今後は、数値化したデータの処理方法を検討し、T法によるパターン認識が可能かを見極めていく。
(2)「割れにくいシャボン玉のパラメータ設計」
L9直交表実験からシャボン液の最適条件を検討した。SN比の再現性が難しいと判断したため、精製水、ガムシロップ、洗濯のり(PVA)の量を感度を優先して選択した。比較条件は感度における中位の水準を選択して決めた。確認実験を行った結果、推定の利得6に対して3という結果であった。結果より精製水、洗濯のりの配合が性能に関わっていることが分かった。前回の実験より気温が大きく下がっているため、気温がノイズとして大きく影響していると考えられる。次回は結果をまとめ、今後の方針を決める。

 2012年11月30日(金)、品質工学「実践」交流会を塩尻インキュベーションプラザにて開催した。内容は以下の通りである。
1)あいさつ 長野県品質工学研究会 会長 浦野崇
2)事例発表(4件)
「検査ゲージを用いた三次元測定機の誤差評価と点検方法の検討」日精樹脂工業(株) 常田 聡
「空調の機能性評価」長野県テクノ財団 岩下幸廣
「マイクロビアのテーパー低減」KOA(株) 守谷 敏
「スポンジゴムの切断作業者の能力評価」日精樹脂工業(株) 荒井亮平
3)自由討論および相談会
4)特別講演会「イラストと事例でつかむ品質工学のツボ」 アルプス電気(株) 宇井友成
5)名刺交換会

 2012年12月13日(木)、第8回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す事例発表および2つの共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「紙ヘリコプタの滞空実験を行い、分散分析、滞空時間の推定を行った」 ((株)イースタン 大西 衛)
QC勉強会セミナーに参加して下記実験を行った。
紙ヘリコプタの滞空時間に関し、一元配置実験(水準数:4、繰返し:3)、二元配置実験(水準数:2、繰返しあり)、直交表L8(27)(5因子、各2水準)実験を行い、それぞれ実験結果から分散分析を行い、滞空時間の推定を行った。二元配置実験では、実験結果のグラフより交互作用有意であることがわかっていたが、実際の分散分析からも交互作用有意が読み取れた。
【共通テーマ】
(1)「T法によるパターン認識の検討」
前回、スキャナーで取り込んだ指紋画像が数値化できることが分かったので、今回は単位空間としてAさんの右手人差し指を4パターン、信号空間としてBさんの右手人差し指2パターン、Aさんの右手中指1パターンの合計3パターンとして誤圧によってパターン認識ができるか検討した。その結果、信号空間であるBさんの右手人差し指については単位空間との差が大きくありパターン認識できそうなことが分かった。しかし、単位空間と同一人物のAさんの右手中指は単位空間とほとんど差がなくパターン認識がむずかしい状態であった。今後は、単位空間、信号空間のサンプル数を増やすと共に、様々な評価方法を検討していくこととした。
(2)「割れにくいシャボン玉のパラメータ設計」
前回の実験結果を元に内容を検討した。気泡力試験では台所用洗剤を使用しないほうが泡立ちが良くなってしまい、シャボン玉の性能評価としては難しい。また今回の実験では、感度での評価のみとなったので、シャボン玉の性能を正確に評価するにはどうするか今後さらに検討し、再実験を行うこととなった。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
 
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