新着トラックバック
|
新着トラックバックはありません
|
|
品質工学会誌(2010年2月号) |
2010年2月13日 21時11分 |
長野県品質工学研究会
2009年11月19日(木)、第7回研究会を日精樹脂工業株式会社(長野県埴科郡坂城町)にて開催した。会社見学および2つの事例発表についてディスカッションした。
【会社見学】
研究会は通常、長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催しているが、定期的に会員企業にて開催するようにしている。
今回は日精樹脂工業株式会社にて開催した。内容は、以下の通りである。
・会社紹介:企業理念や業務内容についての紹介
・成形実演見学:拡大レンズの樹脂成形工程の実演(樹脂成形の仕組みの理解)
・工場見学:各種成形機の組み立て工程の見学
・資料館見学:歴代の成形機の発展と歴史の紹介
【事例発表】
(1)「MT法を用いた製品欠陥の検出」(KOA(株)守谷敏)
小形の薄膜抵抗器は、欠陥がある製品を出荷時の抵抗値測定により除いている。しかし、客先での通常より厳しい使用条件下では、不具合の発生を十分に防ぐことができない。これは、抵抗値に現れない欠陥の影響によるものである。そこで、抵抗値以外の特性値と、MT法を組み合わせた検査システムを検討した。良品と判断される製品の特性パターンを単位空間として、不良品のMD値を求めてみると、閾値3で良品と不良品を判別できることがわかった。この検査システムにより判別した良品は、客先の要求を十分満たすものとなった。
(2)研究発表大会発表章賞金賞受賞記念講演「直動すべり摩擦におけるしゅう動特性の研究」 (日精樹脂工業(株) 常田聡)
QES2006にて、直動滑り摩擦の実験装置を用いた摺動特性の評価に関する研究発表を行った。往復運動が可能な小型の実験装置にて、アモントン-クーロンの摩擦の法則より、滑り摩擦面に負荷される荷重を入力としてその時の消費電力を出力とした機能を考え評価した。その結果、SN比の利得が再現せず、納得のいく結論を得ることができなかった。
そこで、実験装置の機能をおもりの移送システムと考え、評価をやり直してみた。各因子を見直して解析したところ、利得の再現性が向上し技術的な面でも納得性が高い結果が得られた。単に科学の法則を利用するのではなく、システムの機能をきちんと考えたことが成功につながった。 2009年12月17日(木)、第8回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す1つの事例発表および2つの共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「巻線回転子の絶縁皮膜厚安定化」 (シナノケンシ(株) 中村雅史)
絶縁皮膜は、モータの回転子と巻線の間の絶縁として用いられている。その絶縁皮膜を塗布する加工において、回転子の形状や場所によって皮膜の厚さが異なるという問題があった。そこで今回の開発では、回転子の形状や場所によらず、絶縁皮膜の厚さを均一かつ簡単に調節できることを目ざした。
基本機能は、入力「塗布時間」、出力「膜厚」としたが、生産設備の都合により塗布時間が固定されてしまうため、望目特性で解析を行った。
誤差因子は、予備実験の結果から、「原料粉の乾燥状態(2水準)」および「回転子内の場所(4カ所)」を組み合わせて8水準とした。
絶縁被膜の塗布条件7つをL18直交表に割り付けて実験を行った結果、利得の再現性はSN比および出力平均ともに良好だった。
要因効果図から求めた最適条件では、従来の条件に比べて、場所による膜厚のばらつきが14%改善した。また、巻線不良を62%低減できた。さらに、要因効果図を得ることができたことにより、膜厚の調整が容易になった。
【共通テーマ】→会員は以下の2テーマに分かれ、各テーマで1年間共通テーマに取り組んでいる
(1)「生キャラメルのパラメータ設計」
生キャラメルの官能評価結果、実験計画について議論した。
10月の研究会にて、実際に市販されている生キャラメルを用いて、色、香り、口どけ、舌触り、後味、濃厚感の6項目の官能評価について、冷蔵庫取り出し直後と30分後(誤差因子)で官能評価を実施した。この評価結果から、冷蔵庫取り出し直後と30分後にて有意差が確認出来、誤差因子として冷蔵庫からの取り出し時間の設定が適切であると判断した。
品質工学実験計画については、制御因子として設定できる材料が、主材料3種類と添加剤となる為、実験効率も考慮し、L9での品質工学実験を行う事とした。制御因子として、牛乳、生クリーム、砂糖それぞれ3因子、添加剤として、塩、バニラエッセンス、添加剤なしの3因子とする。1月の研究会で9種作製し、同日評価も実施する。
官能評価の結果集計は、冷蔵庫取り出し直後、冷蔵庫取り出し30分後、これら組み合わせの結果を感度で評価する。この結果を用いて、取り出し時間に左右されない因子を見つけ、3月の研究会にて再現実験を行う。
(2)「歩数計の機能性評価」
前々回の研究会で実験した結果より、人による差が案外大きいことがわかった。したがって、人による差を誤差とすると、その効果が大きすぎて比較するのが大変になる。そこで、歩数計の取扱説明書にあるように、振動計を使った評価を検討してみることにした。長野県工業技術総合センターの振動試験機を使って評価できるか次回検討する予定である。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
|
|
コメント(0) / トラックバック(0)|品質工学会誌の広場の記事|
|
コメントを書く |
|
コメント |
|
トラックバック |
|
|
|