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品質工学会誌(2018年12月号) |
2018年12月22日 16時43分 |
長野県品質工学研究会
2018年8月10日(金)、第4回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す特別講演、事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【特別講演】
「設計の「従来の思考」と「タグチメソッド」」&「提供する文献の簡単な紹介」宇井經雄氏(当会元会員 宇井技術士事務所)
当研究会の元副会長の宇井氏にご講演をいただいた。火縄銃の実験を例に、ノイズを与えて評価することの大切さが品質工学のオリジナリティであることをご説明いただいた。また、宇井氏の所蔵する書籍を研究会に寄贈いただいたので、貴重な資料として活用していきたいと考えている。
【事例発表】
「T法のVAへの適用 〜ノートPCの装備と価格〜」 (KOA(株)守谷敏)
ノートPCの価格を真値、画面サイズ、CPUクロック、DVDありなしなどの装備を項目値としてT法による解析を行った。推定式のηがVAでの価値係数ということになる。推定値に対して真値が安ければお買い得,高ければ損というように判断ができる。同じ装備での価格差はブランドの差と考えられるが、これを項目値に入れ込むことも検討していきたい。
【共通テーマ】
「BNCケーブルの機能性評価」
機能性評価を実施するにあたり、BNCケーブル、測定器の現物を用意して、部品の構造や、接触抵抗の測定方法について確認し、誤差因子や、実験時の注意点についてディスカッションをおこなった。誤差因子の候補として、温度、接続部への外的荷重、コネクタのロック、磨耗、異物等が挙げられた。また、実験時の注意点として、樹脂部品の残留応力の除去、電圧-電流での評価、実験の再現性、データの測定回数等の意見が挙げられた。
「MTシステムによる工作機械の異常検知」
旋盤による切削実験の途中経過を報告した。バイトの摩耗具合(小、中、大)と切込み量(0.1mm、0.2mm、0.3mm)をそれぞれ3水準設定し、切削時の振動とAEデータをセンサにて取得した。それぞれの条件による加工後の試料を保存したので、今後加工面の表面粗さ等の形状データも取得しデータ解析する予定である。
2018年9月14日(金)、第5回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す2つの事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「直交表の内側にノイズを割り付けた場合の解析について」 (日本電産サンキョー(株) 中西徹)
18回の実験で、最適条件が求まると勘違いしている設計者が多く、実際には直交表の外側に配置したノイズにより36回の実験が必要となる。ノイズを含めて18回で実験が出来るようにするために、直交表の内側(A列)にノイズを割り付けた。従来の実験の要因効果図と比較しても、ほぼ同様の要因効果図が得られており、実験回数の削減は可能と考えられる。
(2)「最小絶対値法によるロバスト回帰」 (長野県工業技術総合センター 児野武郎)
品質工学とは直接関係ないが、データの回帰式の求め方にExcelのソルバーを用いた最小絶対値法による手法を紹介した。外れ値に対してロバスト性を持つため、データの特性によっては活用できる可能性がある。
【共通テーマ】
「MTシステムによる工作機械の異常検知」
旋盤での加工時に取得した振動センサ等のデータと加工後の表面粗さの測定結果をグラフ化して目視で比較し、分析方法の議論をした。その結果表面粗さパラメータを真値とし、センサーデータの統計量を用いてT法で推定できるか検討することにした。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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