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品質工学会誌(2006年12月号)

長野県品質工学研究会
 2006年9月21日(木)、第4回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す2つの事例発表および3つの共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「ラジエタとファンの最適配置」 (石川島芝浦機械(株) 新橋哲也)
トラクターのラジエタとファンの最適配置についてパラメータ設計を行った。入力は「ファンの回転数」、出力は「ラジエタの前面の風速」である。ノイズはラジエタに付着するゴミを想定し、パンチングメタルを用いてゴミの代用とした。SN比の利得の再現性は乏しかったが、感度は良好であった。議論のポイントは次の点であった。
・ノイズを「ゴミの付着」にしたが、パンチングメタルを装着してノイズを作り出したことは素晴らしい。
・基本機能は、「熱交換」というラジエタの機能に着目してみてはどうか。
・ファンの回転数と風速での評価では、理想の状態は感度が大きいことなのか?それが本当に熱交換で有利になるのか?
・ファンを実際のエンジンで回転させるのではなくて、モータで回転させるなど、実験装置を工夫している。このような工夫が実験を実施する上ではとても重要である。
(2)「QES2006金賞受賞テーマ『金属材料評価の研究』について」(新光電気工業(株) 野川和幸)
受賞テーマについてディスカッションをした。議論のポイントは次の3点であった。
・材料評価における劣化
・破断後の応力0のデータの扱い方
・破壊エネルギーでの評価
【共通テーマ】→会員は以下の3テーマに分かれ、各テーマで1年間共通テーマに取り組んでいる
(1)「パラメータ設計でゴルフのパターを作る」
パタ−の機能を検討した。入出力は、「強さ」と「距離」の関係とする。また、パターがブレたときも距離が変わらないと考え、誤差因子は「ブレ」とする。
(2)「MT」
歩く際の足裏の圧力分布変化から人の判別を行おうとする「足裏判別2」のテーマについて、会員2名が試験的に計測した生データを皆で見ながら、今後の進め方について議論した。重心軌跡の変化や、圧力分布パターンの変化について、靴下、スリッパ、サンダル、スニーカー等の履き物による違いや、人による違いを考察した。大まかな次回のデータ収集方針を決め、個々のメンバーが様々なアプローチを試みていくことを確認した。
(3)「モータの電力評価」
ラジコン用モータを購入し、実際に回転させてみた。電力計を用いて計測を行ったところ、無事に電力測定をすることができた。次回の研究会では、5種類のモータに負荷を与え、電力や回転数などを測定することになった。またノイズに関するディスカッションを行うことになった。

 2006年10月14日(土)、3県合同研究会を東山旅館(埼玉県さいたま市)にて開催した。3県とは、QEF埼玉(埼玉)、北陸品質工学研究会(富山、石川、福井)、長野県品質工学研究会(長野)である。合同研究会は、年1回各研究会持ち回りで開催しており、2004年(長野)、2005年(富山)の順番で行ってきた。なお、2007年は長野での開催を予定している。今回の合同研究会の内容については、QEF埼玉から詳しい内容の報告があると思うが、「各研究会の活性化」や「官能評価研究」など非常に充実した内容であった。

 2006年10月26日(木)、第6回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す3つの事例発表、2つの報告および3つの共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「抵抗器の端子位置精度に関する検討」 (KOA(株) 守谷敏)
 新人研修で実施された事例である。カシメ工程の最適加工条件を求めた。利得の再現性は良好であり、現行よりもばらつきを37%低減できた。
(2)「T法を用いた足圧による人の判別」(KOA(株) 守谷敏)
 共通テーマで実施しているMT法による足裏判別について、T法を適用して解析を行った。重心位置をデータとして解析した結果、判別は可能であった。また、足圧分布をデータとして解析した結果、判別は難しいという結果になった。再現性については、今後検討を行う必要がある。
(3)「岡谷OL品質教育上級コースの紹介」 ((株)岡谷オリンパス 柴田恭男)
 QCコースの教育カリキュラムについて紹介した。ゲーム感覚で学べるような工夫をした。今後は、QEの考え方も取り入れたカリキュラムを検討している。
【報告】
(1)「計測自動制御学会中部支部シンポジウムでのMTシステム事例紹介について」 (長野県工業技術総合センター材料技術部門 宮嶋隆司)
 2006年11月10日に長野県上田市にて開催される「計測自動制御学会中部支部シンポジウム」にて、MTシステムの紹介と品質工学研究会の勧誘を兼ねて、足裏判別の事例をポスター発表することになったことが報告された。
(2)「3県合同研究会について」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
 2006年10月14日に埼玉県さいたま市で開催された合同研究会について報告された。
【共通テーマ】→会員は以下の3テーマに分かれ、各テーマで1年間共通テーマに取り組んでいる
(1)「パラメータ設計でゴルフのパターを作る」
ゴルフのパターの最適化を目標に取り組んでいる。実験とシミュレーションの2通りからのアプローチを試みている。今回は、パター最適化の理想機能について考えた。その結果、パターの理想機能は、ストロークの大きさに対する距離とした。つまり、位置エネルギに対する速度エネルギである。この関係が誤差因子に対して、ばらつきが小さいのが良いパターとして評価することとした。 次回は、実験ロボットを作成する予定である。また、シミュレーションによる評価を進める予定である。
(2)「MT」
歩く際の足裏の圧力分布変化から人の判別を行おうとする「足裏判別2」について、前回試験的に計測した2名のデータをMT法及びT法で判別を試みた結果について議論した。重心位置の移動データから、両方法ともに判別できる可能性が高い事がわかり、新たな11名の実験データでの検証を進めることにした。また、重心位置の移動速度変化や分布面積変化などによる判別も試みることにした。
(3)「モータの電力評価」
5種類のモータについて、無負荷状態での回転数、電圧、電力について測定を行った。モータにプロペラを装着し、負荷を与えるつもりであったが、回転数を計測する関係上不都合があり、とりあえず無負荷状態でデータを取ることになった。次回は、ノイズを与えて測定をすることになった。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)


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