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品質工学会誌(2008年12月号) |
2008年12月28日 18時30分 |
長野県品質工学研究会
2008年9月18日(木)、第5回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す2つの事例発表および3つの共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「オンライン品質工学の取り組み」 ((株)IHIシバウラ 浦野崇)
オンライン品質工学を用いて、以下の3つの事例に取り組んだ。
・「バケットコンベアに関する予防保全」
・「歯車工場のホブ破損に関する予防保全」
・「リークテストにおける臨界不良率の検討」
オンライン品質工学を使った感想としては、今までは勘と経験により決めていたものが、理論的に数値で示される点が好評であった。
(2)「品質工学とSN比」 (日精樹脂工業(株) 常田聡)
新SN比の登場で、SN比とは何か?という議論が盛り上がり始めた。そこで、品質工学とは?SN比とは?という視点で、改めてSN比の意味について調査した。その中で、SN比の数理に対しても深く検討し、SN比を求めるときの注意点についてまとめた。 【共通テーマ】→会員は以下の3テーマに分かれ、各テーマで1年間共通テーマに取り組んでいる
(1)「イメージによるパラメータ設計」
前回の研究会では、ターゲットを携帯電話にしようということになったが、改めて検討してみると制御因子をあげるのが困難なことがわかった。そこで、初回に検討したターゲットを再度検討してみた。例えばプリンタとコピー、スキャナの複合機などでもできそうなことから、それぞれ家電製品のカタログを集めて再検討することになった。
(2)「シャープペンの機能性評価」
前回の、シャープペンシルのノック数と吐出量を測定し、そのSN比の差について議論した。その時、初期の芯の吐出量に差がある為、初期の値を省いて、1ノック目と2ノック目の差、2ノック目と3ノック目の差の2点での測定結果から、SN比を再計算した。再計算の結果からは、SN比の最大、最小の差は1以内となり、シャープペンシルの固体差が少ない事が判明した。
この結果から、(A)(B)の劣化を与えた後、上記同様の評価を実施し、SN比を求める事とした。(10/18実施予定)
劣化条件:
(A)筆圧(0.8MPa程度?)の10倍程度の加重を、万能試験機等で与える。加重を一定にするのではなく、芯を1mm出し、
0.5mm戻る変位を一定にする。
(B)机(1m)の上から、10回、鉛直方向に落下させる。
最終的に、初期状態、筆圧による劣化、落下による劣化、これらの条件で、どれが一番、SN比の大きいシャーペンになるか判定する。
議論の中で、1回のノックでの最適な吐出量とは?筆圧による芯の折れやすさ?等の議論があったが、明確な測定方法を見出せず今回は断念した。
(3)「T法、MT法、オンラインQEを使ってみよう」
参加会員が各自のテーマについてT法で解析した結果が報告された。テーマ名を以下に示す。
・「射出品重量」と「各種の射出成形条件」との関係をT法で解析
・「冬の気温(降雪量)」と「夏の気象データ」との関係をT法で解析
・「都道府県別の高齢者医療費」と「その他の都道府県データ」との関係をT法で解析
・「長野県上田市の気温」と「他県都市の気象データ」の関係をT法で解析
2008年10月23日(木)、第6回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す2つの事例発表および3つの共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「タイトルおよび内容は会社都合により省略」 (サンスター技研(株) 大久保直樹)
(2)「トリミングシミュレータを用いた品質工学による解析」 (KOA(株) 守谷敏)
角形チップ抵抗器のレーザによる抵抗値調整について、自社開発したトリミングシミュレータを用いて、品質工学による解析を行った。
入力は「抵抗器に印可する電圧」、出力は抵抗体の「電界強度」および「電流密度」を設定した。その結果、利得の再現性は良好であった。
抵抗体の厚みは生産工程でコントロールできることと、出力への影響を調べるために、ノイズではなく制御因子として扱った。
結果をフィードバックして角形チップ抵抗器の設計に活用している。
【共通テーマ】→会員は以下の3テーマに分かれ、各テーマで1年間共通テーマに取り組んでいる
(1)「イメージによるパラメータ設計」
前回の研究会では、ターゲットを決めるために家電製品のカタログを収集してくる事となった。さまざまな製品の中から、掃除機と便座に絞り込み取り組むことにした。その際、製品そのものに要求される主な機能を考えるか、それとも、掃除機のゴミ捨てのようなメンテナンスのユーザビリティを考えるかが議論となった。次回までに両製品に関してそれぞれの家族の意見を参考にし、制御因子や誤差因子を考えて持ち寄ることにした。
(2)「シャープペンの機能性評価」
前回の打ち合わせでは、劣化の与え方について議論した。劣化の与え方として、(A)机の位置から横方向(床面とシャープペンが平行になる様)に10回落下させる、(B)筆圧0.7MPaの1000倍、すなわち700MPaの圧縮試験器で加圧(1000日使用相当と仮定3年相当の劣化)の2条件について議論した。(A)の条件での劣化+測定を実施し、劣化後に芯の出方のSN比が悪化したものと、悪化しないものがあった。また(B)については、劣化のみ与え、次回測定し評価する。
(B)の劣化を与えた感触では、芯の出方が変化したものがあり、劣化の与え方としては適当だったと推測している。シャーペンの機能性評価としての一連の評価のまとめとしては、(A)購入直後の芯の出方、(B)机からの落下による芯の出方、(C)筆圧による劣化(促進)の3つの観点から、機能性評価を実施し、購入後・使用後・落下後として結果をまとめる。書き味等に関しては、感覚的な評価を数値化する手法を見出せていないことと、どんなに劣化を与えても、均一に芯が安定して吐出されることが望ましいと考え、今回は省略する。
(3)「T法、MT法、オンラインQEを使ってみよう」
参加会員が各自のテーマについてT法で解析した追加結果が報告された。T法は手軽にできる解析方法であり、各自のテーマを通して、T法のメリットを実感することができた。続いて、MT法の概要を解説するプレゼンが行われた。次回の研究会では、参加会員のテーマを持ち寄り、その場でMT法による解析を行う予定である。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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