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長野県品質工学研究会の活動報告(2021年4月&5月)
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2021年5月21日 08時23分
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長野県品質工学研究会
2021年4月15日(木)に2020年度の臨時研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:4名+事務局2名、オンライン参加者:6名)
以下に示す2つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「制御因子間の交互作用について(我々は何故「制御因子間の交互作用の大小」を根拠とした説明を信じてしまったのか?)」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
関西品質工学研究会の芝野氏の講演をきっかけに、交互作用について研究会で議論することになった。その叩き台として、増田が資料を作成し、ディスカッションした。制御因子間の交互作用とは何か?なぜ交互作用が大きいと悪なのか?本当に悪なのか?を議論した。ノイズの話と制御因子のスケールアップの話を別々に考えることで、品質工学における上流と下流の考え方の真相が見えてきた。スケールアップするのではなく、スケールインすることで、テストピースの結果を実機に反映できることが分かってきた。また、「テストピース」という言葉の定義を明確にしないと、誤解を生じさせることになるので、これも気を付けなければならない。
2.「相談:T法で交互作用の検証ができるのか?」 (日置電機(株) 兒玉光)
従来、品質工学では直交実験の結果から要因効果図を作成し、再現実験をおこなったうえで利得の確認をおこなう。
その際に、利得が再現せずに最適解をあきらめるようなケースでは、実際に行った実験結果以外の最適解の探索を断念することになる。
一方、重回帰分析等の分野においては、比較的簡単に交互作用を検出する工夫が行われている。
今回以下の提案をおこない、意見をいただいた。
@T法においても交互作用項を設けて交互作用の検出ができないか?
A@が可能である場合、直交実験結果をT法で解析することで、
交互作用項を含めた要因効果図を作成することができないか?
2021年5月14日(金)に2021年度の総会および第1回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:3名+事務局2名、オンライン参加者:13名)
【総会】
令和2年度の事業報告および令和3年度の事業計画が承認された。本年度の会員数:15(正会員:10、特別会員:5)である。開催日程は全11回を予定している。活動内容は、「事例発表(会員の持ち回り)」、「合同研究会」および「講演会」である。
【事例発表】
以下に示す3つの事例発表についてディスカッションした。
1.「SN比の利得が再現しなかったとき...」 (日精樹脂工業(株) 常田聡)
QES2006で発表した「直動滑り摩擦における摺動特性の研究」では、クーロンの法則を機能と考えた評価を行った。簡単な実験装置を用いて
荷重を入力とし消費電力を特性値として評価したが、SN比の利得は再現しなかった。
3年後のQES2009にて、実験装置は物の移送システムであると考え直して入力を移送距離に変えて解析をやり直し、SN比の利得が再現したことを報告した。
最初の研究ではシステムの機能を評価せず、摩擦・摩耗という弊害項目の評価であった。
実験が上手くいかなかったとき、機能を考え直すことが大切である。
研究論文は学会誌に掲載されているので参照願う。
「平行すべりしゅう動面におけるしゅう動特性評価方法の研究」品質工学 Vol.18,No.2,(2010),pp79-87
2.「パラメータ設計事例(仮)」 (日本電産サンキョー(株) 中西徹)
パラメータ設計のチューニング方法について確認実験により利得の再現性が良かった場合、2ndステップとして感度のチューニングを行うが、4,374通り全てのSN比、感度を推定し散布図にすると、選択した最適条件の立ち位置が明確になる。特に品質工学に触れていない技術者への説明には説得力が有ると感じた。
3.「樹脂収縮率を最小とする射出成形機の制御因子間交互作用について」 ((株)サンコー 井上貴裕)
樹脂成形の成形収縮率に対する成形条件の影響を調査することを目的としてパラメータ設計を行ったところ、現行条件より良い条件を発見することはできたが利得の再現性は得られない結果となった。発表後のディスカッションでは様々な指摘をいただいた。樹脂の成形は様々な要素が影響し合っているため、制御因子間に交互作用があること。水準は機械の設定値を使用しているが、実際の加工では設定値通りになっていないため、実測値を使用するのが望ましいこと、など。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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