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品質工学会誌(2013年4月号)
長野県品質工学研究会
 2013年1月10日(木)、第9回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す事例発表および2つの共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
(1)「T法でビールの売上の予測を試みた」 (長野県工業技術総合センター 児野武郎)
「冷夏ではビールが売れない」などと一般にはいわれている。そこで、気象データからそれを予測するするため、T法の適用を試みた。気象データは気象庁、ビールの売上データは総務省のそれぞれホームページから取得した。また、経済の影響も考えられたので、日経平均株価も単位空間のデータとして付加した。結果は重回帰分析による結果と比べ予測精度が劣った。予測精度を上げるために、忘年会など月ごとの要因を考慮する、単位空間は均質なデータを用いて作成するなどが提案された。これらを用いて今後再検討する。
【共通テーマ】→会員は以下の2テーマに分かれ、各テーマで1年間共通テーマに取り組んでいる
(1)「T法によるパターン認識の検討」
今回は、単位空間と信号空間のサンプル数を増やして、誤圧の距離を求めた。その結果、単位空間と距離の差が大きくなるもの、ほとんど変わらないものがあることが分かった。そこで、二値化したデータと指紋画像を見直したところ、指紋画像を二値化したデータが指紋画像の色の濃淡によって指紋のパターンが表現できていないものがあった。よって、指紋画像を二値化する時の処理方法にまずさがあることが分かったので、次回までは処理方法の検討を行ない、再分析をする。
(2)「割れにくいシャボン玉のパラメータ設計」
前回の実験では、シャボン液を約1mの高さから滴下した際の気泡高さを評価項目としていた。L9実験の最適条件は、標準条件に対して利得は得られたものの、割れにくいシャボン玉の条件とは言えなかった。そこで、シャボン液の配合に関して再調査を行った。ぬるま湯、洗濯のり、台所用洗剤、ゼラチン、ガムシロップ、グリセリン、炭酸飲料など材料を混ぜ合わせて、6種類のシャボン液を作ったところ、1つが比較的割れにくいシャボン液であったため、その条件を標準条件として再実験を行うこととした。評価方法については、割れにくいシャボン液は弾性が高いことから、その強度を小型の材料試験機で評価できないか検討することとした。

 2013年2月14日(木)、第10回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す事例発表および2つの共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
「品質工学できない男 − 勘と経験と度胸で悪いか!! −」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
品質工学と出会い、品質工学のメリットを実感し、研究会を作り、今に至る過程を紹介した。
【共通テーマ】
(1)「T法によるパターン認識の検討」
前回、二値化したデータが指紋のパターンをきちんと表現できていなかったため、指紋画像のコントラストを変化させて再評価を行なったが、結果はほとんど変わらなかった。このことから、指紋画像をソフトウェアで単純に二値化するだけでは、指紋のパターンを忠実に再現できないことがわかった。使用しているソフトウェアでは二値化の他に256階調のRGB値へ変換でき、そのデータをもとに自分たちで閾値を設定し二値化することが可能である。今後は、RGB値に変換した値から二値化するための閾値について検討をしていく。
(2)「割れにくいシャボン玉のパラメータ設計」
シャボン玉の割れにくさを評価するため、長野県工業技術総合センターの協力を得て引張試験機を使用しての評価方法を検討した。シャボン玉を作る輪の柄にひずみゲージを貼り付け、輪の部分をシャボン液に漬ける。柄の部分を引張試験機に取り付け、等速で引き上げる。シャボン液が伸び、割れた瞬間のひずみゲージの出力をパソコンに取り込んだ。その結果、シャボン液や引き上げ速度の違いにより、ひずみゲージの出力に差が出る可能性が得られた。次回はノイズを検討し、予備実験を行う。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
 
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