長野県品質工学研究会 2007年1月18日(木)、第9回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す1つの事例発表および3つの共通テーマについてディスカッションした。 【事例発表】 (1)「もの作りにおける計測の品質」 (元(株)ミツトヨ 中村哲夫) 品質工学会誌Vol.14 No.6に掲載された論説について、著者である中村氏に解説をお願いした。3次元測定機を例にして「測定の不確かさ」、マイクロメータの測定を例にして「適切な計測の方法」、そして「図面の品質と測定の混乱」について、丁寧に解説をしていただいた。図面の話題については、かなり耳の痛い話であったが、その重要性について理解することができた。なお、中村氏には今後、長野県品質工学研究会に参加していただく予定である。 【共通テーマ】 (1)「パラメータ設計でゴルフのパターを作る」 ゴルフのパターの評価装置を作成した。評価装置は完成したが、一部修正が必要なため、次回までに部品を手配しておくことにした。また、次回の研究会までに計測項目・評価方法を考えて、実際に計測し評価してみることになった。 (2)「MT」 歩く際の足裏の圧力分布変化から人の判別を行おうとする「足裏判別2」について、MT法で判別を試みた結果について議論した。履き物をスリッパに限定すると、ある1人については、足裏の分布面積変化の時系列データ波形における微分/積分特性を項目にして、判別が可能であった。さらに様々な履き物への対応や、他の方法(T法など)による判別など、引き続き試みていくことにした。 (3)「モータの電力評価」 ノイズ(温度、運転時間、姿勢)をL4直交表に割り付け、5種類のモータについて、電圧、電力、回転数について測定を行うことになった。今回は、温度(−10℃)での測定を行った。次回の研究会では、残りの温度(+50℃)での測定を行い、各モータのSN比および感度を算出する予定である。
2007年2月15日(木)、第10回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す2つの事例発表および3つの共通テーマについてディスカッションした。 【事例発表】 (1)「パターのパラメータ設計」(タカノ(株) 中原健司) 現在共通テーマとして活動している「パラメータ設計でゴルフのパターを作る」について、シミュレーション(LS-DYNA)を用いてパターのパラメータ設計を行った。基本機能は、入力「パター速度」、出力「ボール速度」とした。誤差因子は「打点の位置」として、スイートスポットで打った場合とスイートスポットから外れた場合を設定した。シミュレーションの結果、パターのヘッドが大きくなるほどSN比は高くなった。また、利得の再現性は良好であった。 (2)「ゴルファーの能力評価」(KOA(株) 守谷敏) 「標準化と品質管理」Vol.57、No.3を参考にして、女子プロゴルファーの能力評価を行った。用いたデータは、2006年9月10日の「第39回日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」最終日のデータである。パー数毎に望小特性でSN比を算出し、能力評価を行っ た。また、ハンディの検討も行った。 【共通テーマ】 (1)「パラメータ設計でゴルフのパターを作る」 ゴルフのパターの評価装置を作成し、完成した。2種類のパターを用意して、評価装置にてボールを打った。打ち方は、「中心でヒット」、「オフセットヒット」の2種類で行った。ボールが転がった位置を計測してみた結果、2種類のパターでは転がった位置に差が出た。 (2)「MT」 歩く際の足裏の圧力分布変化から人の判別を行おうとする「足裏判別2」について、T法とMT法で判別を試みた結果について議論した。T法では、対象とする項目の選び方で認識率が変わっていく様子が確認できた。また、MT法ではスリッパ以外の履き物すべてを含めた識別を試みた。すべての人の認識はできなかったが、当初の予測よりは認識が可能であった。T法とMT法の違いが明確になる比較実験などを引き続き試みていくことにした。 (3)「モータの電力評価」 1月の研究会に引き続き、ノイズ(温度、運転時間、姿勢)をL4直交表に割り付け、5種類のモータについて、電圧、電力、回転数について測定を行なった。今回は、温度(+50℃)での測定を行った。次回の研究会では、測定したデータ(電力、回転数、電圧)を用いて、各モータのSN比を算出し、機能性評価を行う予定である。 ((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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